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ユカワアツコ「雀の小藤太 鳥歌合絵巻」

「雀の小藤太」は、室町時代に描かれた、雀を主人公とした小さな物語絵巻です。子どもを失った雀の小藤太夫婦と、なぐさめに訪れるさまざまな鳥たちが交わす和歌と、四季折々の植物がおりなす哀切ななかにも晴朗な空気がながれる愛らしい世界。2007年の秋にこの絵巻に出会ったユカワさんが、さまざまなアプローチで小藤太へとのみちすじを辿り、ついにじぶんなりの「雀の小藤太」を描きだしました。

ユカワさんの絵には和歌は書き込まれていません。そこで小冊子をつくり、そこに和歌を書き込むことにしました。そしてもう一冊、ユカワさんの「雀の小藤太」絵巻にであってから個展開催までのみちのりをユカイなイラストとともに綴る「私は雀の小藤太に会えるのか」と、小藤太絵巻資料集を収録した「リポート編」。この2冊で、ただいま知りうる限りの小藤太知識は君のもの!(かもしれない~)。

​(月兎社版「雀の小藤太」は完売しております)。

 

個展…ユカワアツコ「雀の小藤太 鳥歌合絵巻」展
2009.04.01-0405
西荻窪 FALL 

 

番外編「ユカワアツコ 雀の小藤太/夏行脚絵葉書」

「雀の小藤太」とは、室町時代頃に作られた絵巻物で、「雀の草子」「雀松原」「鳥歌合絵巻」などの別名で呼ばれることもあります。
【あらすじ】 ある里に仲睦まじく住む雀の小藤太夫婦が大切に育てていた子雀が、目を離した隙に蛇に食べられてしまいます。悲しみに泣き暮らす夫婦でしたが、やがてその不幸を伝え聞いた鳥たちが次々となぐさめに訪れます。鶯、鶉、白鷺、四十雀・・・それぞれに心のこもったお悔やみの和歌を贈り、小藤太もまた友の厚情に胸打たれつつ、和歌を詠み返すのでした。心落ち着いた夫婦は出家の意思を固め、別れ別れに飛び立ちます。小藤太はふくろうの和尚を訪ね剃髪し、墨染めの衣をまとって、各地を行脚しながら仏の道に仕えたのでした。
慈愛に満ちたこの絵巻物に魅せられた私は、 いろいろな方のご協力のもと2009年に写本を制作、発表しました。三枚の絵葉書には、心平らかな小藤太の夏行脚道中を想像した場面が描かれています。今もどこかの山道を、雀の和尚さんとなった小藤太が数珠を片手に歩いているような気がします。

トリル ユカワアツコ
 

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